田山、ついにマドリードで代表内定を決める!
「思い通りのレース」と田山
ロンドン・オリンピック代表内定を実力で獲得する最後のレースとなった5月26日(土)、27日(日)、スペイン・マドリードの世界トライアスロンシリーズで、田山寛豪(NTT東日本・NTT西日本/流通経済大学職員)が7位に入り、土壇場で代表内定を奪取した。
2週間前のサンディエゴのレースでは8位以内に入れず、「夢を実現するには、マドリードしか残されていない」とレースに臨んだ田山は、「思惑通りのレースになった」と振り返った。
スイムで先行してバイクを少人数で逃げ、第2集団との差をつけてラン勝負に持ち込む、という戦いが田山のプラン。レースは、9名の第1集団が第2集団を2分以上離してランへ突入。トップのジョナサン・ブラウンリー(イギリス)が快走を見せるなか、田山もラン中盤で8位の選手に1分以上の差をつける粘りの走りを見せ、結局、7位でフィニッシュとなった。
田山は、「メチャクチャ苦しいレースだった。でも、これまでケガで走れなかった苦しさに比べたら大したことはない。最後の挑戦だったので、どんな結果になっても受け入れる気持ちだったが、思い通りのレースになった」と語った。
田山は「もっているものがある」
山根英紀マネージャーは、「気持ちが乗り移った走りは田山選手本来のもの。最後の最後で実力を発揮するメンタリティがすごい」と評価する。
ロンドン・オリンピックで女子は3位以内、男子は8位以内を目標として掲げるナショナルチームの代表内定争いで、指定されたレースでこの順位を実現したのは田山独り。それだけに、ロンドンの本番での活躍が一層期待できる結果となった。
この結果に飯島監督は、「この2年間、田山はケガに泣いてきた。それに腐らず、前を見て最後まで攻めた姿勢はすばらしい」と、田山が会心のレースを戦ったことを証明した。そして、「田山は、『もっているもの』がある。ロンドンでもこの逃げを見せてほしい」と付け加えた。
女子は、2枠の内定を残す
男子は、獲得している2枠にすでに内定している細田雄一(グリーンタワー・フェリック・稲毛インター)と田山が代表に名乗りを上げたが、女子はどうだったのか。
「スイムを先頭集団で終え、バイクも第1集団だった。しかし、バイクで仕掛ける選手が少なく、スピードも上がらず、途中で第2集団に追いつかれ、40名以上の大集団となってしまった」と言うのは井出樹里(トーシンパートナーズ・チームケンズ)。
井出は、ランでも序盤はトップ集団にいたものの、後退して16位となった。「負けた理由ははっきりしているので、修正していきたい」と井出は反省しきり。このあたりを飯島監督は、「井出のランは、スピードは戻ってきているのだが、今回はスタミナ切れ。勝ちたい気持ちについていける身体を作り上げなければならない」と改善点を指摘した。
代表発表に向けて井出は、「代表の座を実力で取りたかった。この2年間の不調から、最後に間に合ったとは言えない。ちょっと足らなかったという感じ。代表の結果は、受け止める覚悟はある」と、JTU強化本部五輪対策プロジェクトチームと選考理事会の決定を待つ姿勢だ。
代表発表は6月1日
代表がすべて内定した男子に対して女子は、あと2枠が決まっていない。
上記のように、井出はマドリード16位。アジア選手権優勝、シドニーで9位、サンディエゴで29位だった足立真梨子(トーシンパートナーズ・チームケンズ)は、マドリードでは20位だった。
現在のITUオリンピック・ランキングでは、足立15位、上田藍(シャクリー・グリーンタワー・稲毛インター)17位、庭田清美(アシックス・ザバス)25位、井出29位、崎本智子(枚方スイミングスクール)37位。昨年から続く、代表への争いの決着はどうなるか。
ロンドン・オリンピック日本代表選手の選考理事会と記者会見は、6月1日(金)15時よりコンベンションホールAP浜松町(東京都港区)で行われる。