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社団法人日本トライアスロン連合 JTU 2012JTUニュースリリース 発行元:公益社団法人日本トライアスロン連合 JTU
配信日:2012年5月25日(金)
   

トライアスロン新世紀
−Triathlon New Wave− NO.5

山本、田山ともに代表の座を獲得できず!

5月12日(土)にアメリカ・カリフォルニア州サンディエゴで行われたITU世界トライアスロンシリーズで、新たなロンドン・オリンピック日本代表は生まれたのか。

世界シリーズ初のアメリカ開催。会場は多くの観客で賑わった


 このサンディエゴと5月27日(日)の世界トライアスロンシリーズ・マドリード大会での起死回生を狙う田山寛豪(NTT東日本・NTT西日本/流通経済大学職員)は、得意のスイムでスイムトップのジョナサン・ブラウンリー(イギリス)に遅れること6秒の11位でバイクへと移り、バイクの前半は第1集団で戦い、好調時の田山を思い浮かべさせた。


 その後、第2集団が追いつき、大集団となると前半ほど前へ出られなくなったものの、ランへはトップと12秒差でコースへ出た。ところがランラップは32分37秒と、優勝したブラウンリーのランラップ30分に2分37秒も遅れて、代表の座を奪取できなかった。

 

 

 「自分のポイントで得た出場枠を他人には渡したくない」と田山を牽制する山本良介(トヨタ車体)は、スイムでやや出遅れてバイクは第2集団に。前述の通りこの集団は第1集団に追いついて、ランへはトップに6秒遅れてスタート。そして、ランラップ32分19秒で40位という成績となった。

 山本、田山にとってはマドリードが最後の決戦の場となるが、土俵際の田山は、「夢を実現するには、ここしか残されていないことは分かっている。このコースは、スイムで先行して、少数のバイクで逃げられるコース。そのなかに入って第2集団との差をつけ、前を追う選手が少ないうちにフラットなランコースで勝負に出たい」と、スイムで山本を離してしまう作戦だ。

 

フィニッシュ後の山本と田山。次戦マドリードが最終決戦となる

 


男子オリンピック代表にはランのスピード強化が課題

 すでにオリンピック代表を内定している細田雄一(グリーンタワー・フェリック・稲毛インター)は、スイムからバイクへは14秒遅れの18位で通過。ランへはトップのブラウンリーに次いで2位でコースへ出たが、好走も500mで終わり、48位という結果になった。

 


 

「細田、山本、田山の3者とも、ランまでのアプローチの違いはあっても、ランスタート時は好位置を取れるようになってきた。ロンドン・オリンピックの男子の目標である8位以内入賞を達成するには、あとはラン序盤とスピードトレーニングをどう強化していくか」と、残り六十数日の強化プランを策定を前に、山根英紀ナショナルチームマネージャーは語る。しかし、ランで2分以上の差をつけられてしまえば、表彰台はおろか8位は遠い。その点を、「これからのスピード練習で強化しなくてはならない」とも言う。

 

 

井出の力強い走りは完全復活か !?

 女子は、ビーチラン形式のスタートが直接スイムの位置取りに影響した。スタートしてから泳ぎ出すまで、走るかドルフィンで前へ出るかの選択がタイムを左右し、スイム出身の崎本智子(枚方スイミングスクール)でさえ、トップから26秒の差をつけられ、バイクの第1集団に入れた日本選手はいなかった。



スイムの位置取りが大きく影響したスタート


 バイクの第1集団は、カメラバイクの影響からトップ7名が後続の選手と比べてかなり速いバイクタイムを残した。
 そのなか、後ろから追い上げた井出樹里(トーシンパートナーズ・チームケンズ)がランラップトップと1分8秒差の8番手のラップタイムで走って13位となり、「この点は明るい話題として評価できる」と、飯島健二郎ナショナルチーム監督は言う。

井出はマドリードで代表権獲得となるか?

 

ケガに泣いてきた井出が満を持して復活ということになれば、代表争いも一層の厚みが出てくる。当の井出は、「この3年間、さまざまな箇所を故障してきたが、やっと癒えて万全に走れるようになった。それがサンディエゴで証明できた。ランラップ8位は、今の私にとってはすばらしいアドバンテージ。後輩の追い上げに負けず、ロンドン・オリンピック代表を取りに行く」と、完全復活を予感させる。

 

 

マドリードのレースに期待

 代表が内定している上田藍(シャクリー・グリーンタワー・稲毛インター)は、スイムで大きく遅れてバイクでも追いつけず、ランの途中でレースを離れた。スイムで集団に乗り遅れない泳力と、バイクで追いつく力が課題であることは本人も分かっているが、苦しいレースが続いている。

 その上田と細田の代表内定組は、今週末のマドリードには欠場。両者とも、6月24日(日)のキッツビュール大会(オーストリア)と7月22日(日)のハンブルク大会(ドイツ)を調整レースとして出場し、本番に臨む。「細田は、アジア大会で一度ピークをつくっているので、ロンドンまでにランのスピードを構築し直していく」と山根マネージャー。

 

苦しいレースが続いているが、ロンドンでは上田らしい走りを期待したい


 

 マドリードは、女子2枠、男子1枠の残りのロンドン・オリンピック代表枠が実力で奪取できる最後の戦い。女子は、アジア選手権に優勝し、シドニーでも9位と好結果を残している足立真梨子(トーシンパートナーズ・チームケンズ)とここ一発の勝負強さを見せる庭田清美(アシックス・ザバス)も照準を合わせて出場。日本選手の奮闘に注目したい。
 マドリードのレースを経て、6月1日には代表選手が発表される。

 


足立は次戦マドリードで初の五輪代表を狙う

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