2000年度全国審判試験(第3種)作文を和歌山県トライアスロン連合(WTU)がウェッブサイトに公開してくれました。
現在の掲載はありませんので、ウェッブJTUマガジン「競技規則について」の頁に全44作文を掲載します。
http://www.jtu.or.jp/kyougikisoku/index.html
http://www.jtu.or.jp/kyougikisoku/sakubun-narawakayama2000.pdf
ご注目願いたいのは、次の二つの作文です。選手たちも審判の現場を知り、相互理解が高まることを期待します。
◇解答例1<作文14>「審判員のあるべき姿・心得」
一昨年のある大会に仲間と出場した時の事ですが、スイムコースのブイが見えにくく、多くの選手が最短距離を泳げず、普段のタイムより大きく遅れることがありました。
どこに向かって泳げばいいかよくわからず、私の仲間の一人は大きくコースを外れてしまったそうです。その時、大会関係者は、「コラ、どこ泳いでんねや。」と怒ったように注意したそうです。
誰も好きでコースアウトして余分に泳ぐものはいません。結局彼は、普段の2倍近いタイムでスイムを終えたそうですが、何故もっと早く彼にスイムコースの誤りを告げる事が出来なかったのでしょうか。
又、余分に泳いで疲れている彼に、もっと親切に対応出来なかったのでしょうか。
その大会も何度も行われている大会なのに、決して安くない大会参加費を払っている以上、もっとしっかりとした運営をしてもらいたいと思いました。
トライアスロンの大会は、いろんな地形等の条件で開催されるため、難題があるでしょうが、大会の運営技術があってこそ、参加者のパフォーマンスも上がるだろうし、審判員の実力が発揮できるものと思います。
前述の大会関係者は、審判員ではなかったかもしれませんが、審判員も競技者の気持ちをくんだ上での公正なルールにのっとった言動が、今後のトライアスロン普及に重要なものとなっていくことと思います。 ###
◇解答例2<作文5>「審判員のあるべき姿・心得」
私の今まで頭の中に描いてきた審判員のイメージは、「競技者のルール違反を指摘して処罰を与える人」でした。
しかし、トライアスロンの大会に参加したり、今回の試験の勉強をしていく中で大きく変わってきました。審判員は競技者のルール違反を裁くのではなく、ルール違反を起こしそうな競技者に安全に無事ゴールできるよう水先案内人となるべきだということを学びました。
例えば、去年初めて美山トライアスロンに競技者として出場しました。スイムスタート地点で、不安でどうしていいかわからずオロオロしていると、審判員の方がその様子を察知してくれ、「自信のない人は後ろの方からゆっくりスタートすればいいですよ」と穏やかに声をかけてくれました。
そのおかげでスタート時のバトルに巻き込まれることなく、安全に泳ぎ始めることが出来ました。またスイム途中では、私は左の方へそれて泳いでいっていたのを気付かずにいると、ボートに乗った審判員が、「少しそれていきそうですよ」とゆっくり教えてくれました。
その時、もし「コースがはずれています。違反です。」ときつく言われていたら、私は気が動転してあせって溺れそうになっていたかもしれません。
このように同じ内容のことを注意するのにも、競技に集中している選手に対して言う時には、その表現や言葉使いによって危険な状況に落ちいってしまうかもしれません。
審判員は常に競技者の立場に立って温かみのある言葉使い、対応をするべきです。大会で的確な行動をとるには、事前に言葉使いや競技用語について十分学習しておかなければなりません。
大会は競技者の自覚、自己管理は言うまでもなく、審判員との信頼関係、相互協力が良いレースをつくっていくのです。私は女性審判員として、女性の立場から大会の運営に協力し、大会を温かみのある明るい雰囲気のものとするために、勉強し努力していきたいと思っています。###