第11回ITUトライアスロン世界選手権パース大会速報

【大会概要】


●女子はニコール・ハケットが、男子はオリビエ・マルソーが初優勝


 4月30日(日)、オーストラリアのウエストオーストラリア州の州都パース市特設コースで、2000年第12回ITUトライアスロン世界選手権が開催された。この大会は、2000年シドニー・オリンピックの代表権を争ううえで重要な意味を持つ、ITUワールドポイントが獲得できる最後の大会。世界各国から142名の選手が参加した。
 エリート女子は、1997・1998年ジュニア世界チャンピオンのニコール・ハケット(オーストラリア)がスイム・バイクとレースをリード。ランでも逃げ切って、世界選手権初優勝を飾った。
 日本選手は、平尾明子(NTT東日本・NTT西日本)が得意のランで第2集団から追い上げ、9位と日本人初の世界選トップ10入りを果たした。

 エリート男子は、オリビエ・マルソー(フランス)がスイムから終始先頭集団に位置し、後続の追い上げを振り切って、初優勝を飾った。
 日本選手は、西内洋行(チームテイケイ)の31位が最高位だった。
 同日午前に行われたジュニア女子は、アンリーズ・ハード(イギリス)が昨年に引き続き2連覇。日本人選手は、大松沙央里(日本女子体育大学)が、ラン追い上げ、10位に入った。中川絵理(愛知県協会)はバイク2週目の下りで落車に巻き込まれたものの、18位と健闘した。ジュニア男子では、フレデリック・ブローブル(フランス)が優勝し、日本選手は益田大貴(NITTOH TEAM KEN'S A&A)が13位に入ったのが最高だった。

●平尾明子が日本人初の世界選トップ10入り!

 午後1時15分スタートの女子は、ウェットスーツ着用可で行われた。シーラ・テルオミナ(アメリカ)が18分52秒で水から上がると、ニコール・ハケット(オーストラリア)、バーバラ・リンクイスト(アメリカ合衆国)が1秒差で追う展開。日本人選手では小梅川雪絵(チームテイケイ)がスイム10位の19分16秒で第2グループにつける。第3グループに、平尾明子、庭田清美(シャクリー・FILA・GT・グリーンタワー)、中西真知子(チームNTT東日本)、大河原浩美(アラコ)が入るが、先週のアジア選手権蒲郡大会で優勝を果たした、細谷はるな(ニデック)は第4集団と出遅れる。
 バイクでは、テルオミナ、リンクイスト、ハケットが先行し、第2〜4集団が形成されてあとを追う展開となった。バイク中盤で第3・4集団が第2集団に追いつき、30名以上に膨れ上がるが、トップグループと1分30秒差をつけられ、ラン競技へと移った。
 ランに入ると、ハケットが他の2人を早々に引き離し、そのまま逃げ切って1時間54分34秒でフィニッシュ、初優勝を遂げた。2位には手術から今期復帰したキャロル・モンゴメリー(カナダ)が6秒差まで追い上げ、3位にはミケリー・ジョーンズ(オーストラリア)に入った。
 日本選手は、スイムで第2集団に小梅川雪絵(チームテイケイ)、続いて、平尾明子(NTT東日本・NTT西日本)、庭田清美(シャクリー・FILA・GT・グリーンタワー)、中西真知子(チームNTT東日本)が第3集団でトランジションに入る。先週アジア選手権蒲郡大会で優勝を飾った細谷はるな(ニデック)は第4集団と出遅れてしまう。バイク中盤で第2集団が後続に吸収される一方、先頭集団はバイクフィニッシュ時に第2集団に1分30秒の差をつける。20名の後続集団からランでモンゴメリーとジョーンズが飛び出すと、平尾・庭田・細谷がこれを追走する。結局、平尾が日本人世界選手権最高位となる9位でフィニッシュした。「先週の蒲郡大会でスイムを失敗していたので、スイムスタート前はとても緊張した。レースの時は後ろを振り返らず前方に集中して走りつづけた」とコメントした。
 その他のおもな日本選手は、細谷13位、庭田14位、中西19位、小梅川26位と、という結果だった。

●マルソーがフランス人初の世界選手権獲得

 午後3時45分スタートの男子は、ウエットスーツ着用可で行われた。スイムスペシャリストのリッキー・ヨルゲンセン(デンマーク)がトップでスイムフィニッシュすると、ローラン・ジャンセルマ(フランス)、クレイグ・ウォルトン(オーストラリア)、ハミッシュ・カーター(ニュージーランド)を含む、8名が続いてフィニッシュして後続を引き離しにかかる。小原 工(チームテイケイ)はスイムを第2集団、西内・福井英郎(シャクリー・FILA・GT・グリーンタワー)は第3集団でフィニッシュ。竹内鉄平(アラコ)・鈴木隼人(東京都連合)は出遅れて、第4集団でフィニッシュした。バイクでは第2集団に次々と後続が追いついて40名を超える大集団となった一方、先頭集団は途中5名に減りながらも、第2集団に1分30秒の差を保ってバイクをフィニッシュする。
 ランでは、ワールドランキング2位のカーターと、オリビエ・マルソー(フランス)がサイド・バイ・サイドで先頭を争う。結局マルソーは中盤カーターを引き離すとそのままフィニッシュラインを駆け抜けた。2位には2週間前のワールドカップシドニー大会を制したピーター・ロバートソン(オーストラリア)が第2集団より追い上げ、3位にはラン中盤より盛り返したウォルトンが入った。
 フランス人のマルソーは昨年末よりトレーニング拠点を強豪ひしめくオーストラリアに構え、数々のレースを転戦した成果が現れた格好となった。
 日本選手は、小原・福井・西内が第2集団で終え、好位置につけたが、ランで伸び悩み、31位に西内が入ったのが最高だった。レース後西内は「世界選に向けた準備はやれるだけのことすべてやった。結果については悔いはない。もしオリンピック代表に選ばれたら全力を尽くしたい」とコメントを残した。
 その他のおもな日本選手は、33位福井、50位に小原がフィニッシュした。竹内と鈴木はラン周回で先頭にラップされ、完走できなかった。




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【リザルト】


【女子エリートトップ10および日本人選手】
順 位 氏 名 記 録 所属/登録
1 ニコール・ハケット 1時間54分43秒 オーストラリア
2 キャロル・モンゴメリー 1時間54分50秒 カナダ
3 ミケリー・ジョーンズ 1時間55分25秒 オーストラリア
4 バーバラ・リンクイスト 1時間55分41秒 アメリカ合衆国
5 アニア・ディトメル 1時間55分46秒 ドイツ
6 シーラ・テルオミナ 1時間55分50秒 アメリカ合衆国
7 エマ・カーニ− 1時間55分56秒 オーストラリア
8 ブリジット・マクマホン 1時間55分58秒 スイス
9 平尾 明子 1時間56分01秒 NTT東日本・NTT西日本
10 シリ・リンドリー 1時間56分02秒 アメリカ合衆国
13 細谷はるな 1時間56分12秒 ニデック
14 庭田 清美 1時間56分14秒 シャクリー・FILA・GT・グリーンタワー
19 中西真知子 1時間56分52秒 チームNTT東日本
26 小梅川雪絵 1時間57分10秒 チームテイケイ
リタイヤ 大河原浩美 アラコ

【男子エリートトップ10および日本人選手】
順 位 氏 名 記 録 所属/登録
1 オリビエ・マルソー 1時間51分41秒 フランス
2 ピーター・ロバートソン 1時間51分55秒 オーストラリア
3 クレイグ・ウォルトン 1時間51分49秒 オーストラリア
4 カール・ブラスコ 1時間52分09秒 フランス
5 ハミッシュ・カーター 1時間52分14秒 ニュージーランド
6 エリック・ファン・デル・リンデン 1時間52分17秒 オランダ
7 ハンター・ケンパー 1時間52分18秒 アメリカ合衆国
8 ステファン・ビニェ 1時間52分19秒 フランス
9 デニス・ルーズ 1時間52分26秒 オランダ
10 グレッグ・ベネット 1時間52分27秒 オーストラリア
31 西内 洋行 1時間54分09秒 チームテイケイ
33 福井 英郎 1時間54分35秒 シャクリー・FILA・GT・グリーンタワー
50 小原  工 1時間59分39秒 チームテイケイ
リタイヤ 竹内 鉄平 アラコ
リタイヤ 鈴木 隼人 東京都連合



【女子ジュニアエリートトップ5および日本人選手】
順 位 氏 名 記 録 所属/登録
1 アンリーズ・ハード 2時間10分06秒 イギリス
2 メラニー・ミッチェル 2時間11分28秒 オーストラリア
3 ニコラ・スプリッヒ 2時間12分19秒 スイス
4 ジョジー・ローン 2時間12分53秒 オーストラリア
5 ベアトリス・ランツァ 2時間13分03秒 イタリア
10 大松沙央里 2時間15分56秒 日本女子体育大学
18 中川 絵理 2時間19分05秒 愛知県協会


【男子ジュニアエリートトップ5および日本人選手】
順 位 氏 名 記 録 所属/登録
1 ・フレデリック・ブローブル1時間57分32秒 フランス
2 ・レオニド・イワノフ 1時間57分57秒 ロシア
3 ディミトリ・スミルノフ 1時間58分30秒 カザフスタン
4 ・デビッド・クラーク 1時間58分46秒 オーストラリア
5 ・ライアン・ジョンソン 1時間59分03秒 オーストラリア
13 益田 大貴 2時間00分33秒 NITTOH TEAM KEN'S A&A
29 宮田 俊介 2時間04分49秒 亜細亜大学


【女子エイジグループ日本人選手:30−34歳の部】
順 位 氏 名 記 録 登録/所属
29 脇 真由美 2時間25分00秒 神奈川県連合


【男子エイジグループ日本人選手:25−29歳の部】
順 位 氏 名 記 録 登録/所属
51 脇 幸一 2時間13分55秒 神奈川県連合