トライアスロンの競技規則について (JTU競技規則より抜粋) □ルールのあらまし 1 ルールの主題は、フェアプレー精神、公正で安全な競技、自分で守る健康と安全、そして一般良識である。 2 完走するために、コースを知り、そこに適用されるルールと交通規則を守る。 3 ドーピングは、すべてのオリンピック競技と同様に禁止。カゼ薬や栄養剤にも注意。 4 ドラフトゾーンやトランジション・スペースなど「競技スペース」を守る。特別ルールを除き、他の競技スペースには入れない。 5 競技者の資格は、JTU加盟団体に登録して取得する。日本学生トライアスロン連合へは直接登録。 □アスリートの心得 1 大会は予測できないことの連続である。波や風、暑さ寒さ、観客や車の飛び出し、見えないくぼみ。危険を察知し、適切な判断で競技する。 2 日頃の練習と健康管理。早めの水分補給。マイペース。リタイアの勇気を持つ。 □一般交通から学ぶ 1 競技は車の運転と同じ=競技者は運転手。審判員は警察官。大会上訴委員会は裁判所である。前方注意。車間距離とキープレフト。追越し車線。悪路や渋滞での減速。徐行と加速、ゆずりあいの精神で安全運転。 2 危険走行への警笛。追越しは、後方確認、合図、車線変更で一気に。左折の合図で確認し左車線に戻る。 3 違反での停止命令と罰則。事故の届け出。裁判での事情説明。保険の適用。ケガ人発見での救助活動。大会と同じである。 □練習中の注意 1 ヘルメットは必ずかぶる。 2 練習中の事故をなくすために、並んで走らない。信号は絶対に守る。 3 競技用と一般の自転車スピードの違いが、運転手を迷わせ、事故の原因となる。 □ウェアと用具 1 スイムでは、スイムキャップ、ゴーグルそしてウェットスーツを着用。バイクでは、規定のヘルメットと用具。ランではシューズを着用。仮装は適当でない。 2 レースナンバーは、四隅を留める。全面が見えるよう気を配る。折り曲げ、変造は禁止。ナンバーベルト使用では、レースナンバーが極端に下にならないよう配慮。 3 サングラスは、透明度の高いものがよい。トンネル内、雨天時の視力低下に注意。 4 規定のボディーナンバーを記入。顔や体に文字を書き込まない。クリーム類は透明のものを使用。タツーシールは禁止。 5 音響・通信機器の使用は禁止。一般的でない用具は、事前に相談する。 6 パーティでは、帽子を脱いで、シューズ着用。服装は整えて出席する。 7 競技用具は、基準に沿ったものを使用する。競技者の責任で整備し、競技中の損傷には適切な対応を行う。競技用具は、指示に従い検査を受ける。 □スムーズな競技とリタイア 1 危険・妨害行為は禁止。相手の優先コースを判断し、スムーズで安全な流れを守る。 2 リタイアは、スタッフに伝え、大会本部にも連絡する。 □スイム(水泳) 1 コースブイの外側を、他泳者とぶつからないように泳ぐ。ブイにつかまって小休止ができる。ブイをつかんでの泳ぎは禁止。 2 救助の合図は、競技を停止し「片手を頭の上で振り、声を出して救助を求める」。水上では救助に時間がかかることを忘れない。 3 ウェットスーツは推奨される。低温や波のあるときは着用義務となる。厚さ5ミリ以内、特殊加工は禁止。日本選手権では、水温20 度以上で安定しているとき着用禁止。 □トランジションエリア 1 用具を交換する、競技コースの一部。エリア内は乗車禁止。ペダル片足走行も禁止。 2 ヘルメットのストラップは、ラックからバイクを外す前にしっかりと締める。フィニッシュ後は、バイクを掛けてからストラップを外す。 3 前輪の先端が、「乗車ラインを越えてから乗る」「降車ラインを越える前に降りる」。 □バイク(自転車) 1 バイクは体に合ったもの、ドロップバーが基本。バイクフレ−ムはクラシックタイプが基準となる方向性。日本選手権やエリート部門では、エアロバーが、ブレーキレバーの先端をつないだ線を越えないものと規定。一般にも尖った先端は改善される方向にある。 2 乗車して競技することが基本。押す・持ち上げる・担ぐも許可。後続のじゃまにならないよう注意する。 3 規定のヘルメットを深くかぶり、ストラップをあごにかかるように締める。 4 規制されたコースでも、交通規則を守る。表示板、コーン、大会フタッフ、警察官の指示に従い競技する。 5 《前方注意・車間距離の確保》は、重要な義務。転倒や急ブレーキ、相手の動きに注意。エアロバーでは、視界が狭まりブレーキが遅れる。 6 キープレフト:左側走行(左端から1m 、コース幅の左側1 / 3 以内基準)で競技する。コース右側は追い抜きスペース。 7 追い越しは、後ろを確認し、前走者の右側から。センター寄りの走者には注意を与える。不安があれば「一声掛けて追い越す」と効果的。 8 ドラフティング走行・集団走行・併走は禁止。特別レースでのみ許可。 9 近づきすぎたり並んでいると、ストップアンドゴー・ルール(SGルール)が適用される。「警告シグナル→レースナンバーのコール→ストップ指示」を受けたら、安全確認後、左端に止まる。降車してバイクを両手で持ち上げる。審判の「ゴー」の合図でレースを再開。タイムペナルティーも併用して適用される。 <ドラフティングルール> 1 ドラフティングは、前走者や車の後ろを風よけにして、楽に走ろうとすること。競技者は、他競技者からのドラフティング走行違反を拒否することができる。 2 ドラフトゾーンは、バイク後輪の最後部を起点に、後方5m 、両サイドに各1m 、計2m の範囲。追い抜き時間は15 秒以内。車からは35m 以上離れる。 3 自転車幅は2m 以内。エリート、一般とも2 台半から3 台分の車間距離をあける。 4 ドラフトゾーンへ入れるのは、15 秒(共通)以内に追越せるとき。そして減速が必要なエイドステーション付近、トランジション出入り口、折り返し地点。 <バイク追越しの決まり> 1 安全に素早く追い越せると判断したら、後方確認、右手を挙げ、右側から追い越しに入る。センターラインは越えない。 2 追い越したら、再度後ろを確認。左手で合図し、キープレフト走行に戻る。 3 追い越し中は、《追い抜く意志を持って、前進している》ように見えなければいけない。ピタリと接近し、静止しているように見えると、規定タイム内でも警告を受ける。 4 前輪先端が、先行する前輪の先端よりも前に出たときに「追い越した」と見なす。 5 追い越されたら、すぐ抜き返したり、背後に付いてはいけない。後退しているように見えなければ注意を受ける。15 秒以内に後方5m まで下がる。 □ラン(ランニング) 1 車に気をつけてキープレフトで走る。マイペースで、一休みもできる。 2 追越しは前走者の右側から。一声掛けると安心。 3 最後は、フィニッシュラインを走り抜く。エリートの意図的な同着は失格。同伴/伴走フィニッシュは、事前に許可された大会で、規定により認められる。 4 総合フィニッシュでは、サングラスをはずす。 □エイドステーション 1 エイドステーションでは、スピードを抑えて補給を受ける。左手で合図しスタッフにお願いする。 2 スタッフは、止まって渡し、走らない。競技者が注意して受け取る。 3 エイドステーション以外での支援は禁止。 □ペナルティー 1 違反や危険が予想されるときは、注意(短音の連続/口頭)を受ける。 2 注意に従わないと警告が出る。「警告音:短音2 回の連続。イエローカード/フラッグ。レースナンバーのコール」による。 3 ドラフティング違反以外でも競技停止指示を受ける。ランやトランジションで「ストップ!」や「手をあげての合図」があったら止まる。指示を受け、再スタート。ボトルの不当投棄やレースナンバーの乱れでも適用される。 4 失格の宣告は、「警告音:長音の連続。レッドカード提示/フラッグを振る。レースナンバーをコールする」のいずれかによる。宣告なしでも失格がありえる。 5 競技中に失格を出されても、状況がよくなれば続けて競技できる。罰則が免除されるものではないが、レース後、審判長に事情説明することができる。 6 ペナルティーの最終裁定は、審判長が行い、「公式掲示板」で告知する。 □抗議と上訴 1 抗議は、競技者か代理人が、審判長に口頭で行う。裁定に納得できないときは、書面で抗議する。ただし、ドラフティング、危険行為、スポーツマン精神に反する言動の判定には抗議できない。 2 抗議できる時間は、記録について30分以内。他競技者、役員、運営について、フィニッシュ後60分以内。競技コースは、スタート24時間以上前に行う。 3 上訴は、審判長裁定に再考を求めるために行う。上訴者は、預託金を納め書面を提出する。大会上訴委員会の聴聞会で説明し、裁定を受ける。預託金は、上訴が受け入れられたら返される。裁定に不服ならば、理事会や総会に上訴することができる。 4 注意や警告を受けたら、終了直後に審判長への状況説明をすることができる。自らのルール違反についても同様とする。 □審判員(マーシャル) 1 競技者がルールを忘れてしまいそうになったとき、審判員はルール違反を出さないように水先案内人になろうとする。競技者の自覚と自己管理、そして審判員の相互協力が良いレースをつくる。 2 “審判員の審判は競技者”である。気づいたことは、大会を管理する競技団体に報告する。 □ボランティア・スタッフ 1 大会はボランティアが支えている。不慣れなためにうまくいかないことがあるかもしれない。それでもニッコリ、「ありがとう」といえたら、声援はもっと大きくなるに違いない。 2 「来年もまた来てください」といわれるアスリートになってほしい。審判員も同じことである。 □大会の成功と継続のために 1 大会では、運営も審判も難しい。<大会を楽しむ権利と運営に協力する義務>。シーズンが終わって稲刈りのときにボトルが出てきたら、大会は続かない。 2 “競技者の思い”を主催者に伝える方法を明確にし、大会の改善につなげたい。競技者と主催者がたがいに納得し、観客も楽しめる大会としたい。 |